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日本銀行 ETF購入急減 年6兆円の目安削除案も

日本銀行が上場投資信託(ETF)の買い入れを大幅に減らしているようです。2021年の購入額は12日時点で計3507億円と7年ぶりに低い水準となっています。過熱気味の株式市場で日本銀行の買い入れがもたらす副作用を意識し、18~19日の金融政策決定会合では株高局面での購入を抑制する政策修正を検討し、日本銀行内では年6兆円という購入額の目安を削除する案も浮かび上がってきているとのことです。日本銀行は2021年に入り、ETFを購入する場合の額を1日あたり501億円としておりますが、2020年の同時期は700億~1000億円程度で、新型コロナウイルスの影響で市場が混乱した際は2000億円強の日もあったのに比べると額を抑えています。買い入れに動いた日数も少なく、12日までの購入総額は前年同期(1兆4846億円)と比べ76%も少なく、仮に現状のペースが続いた場合、年間で1.8兆円程度となるとのことです。買い入れを減らしているのは株価が上昇基調にあり、日本銀行が市場に資金を供給する必要性が薄いためであり、日経平均株価が30年半ぶりに3万円台を回復した2月は特に少なく、1日しか買い入れなかったようです。日本銀行は白川方明前総裁時代の2010年12月に金融緩和の一環でETFの買い入れを始めましたが、当初の購入枠は4500億円でした。黒田東彦総裁の就任後は緩和強化の一環として段階的に増額し、いまは年6兆円が原則で、年12兆円が上限という二つの目安があります。日本銀行の保有するETFは2月末時点の簿価で35.7兆円にのぼり、時価ベースでは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を超え、国内株の最大保有者になっています。日本銀行がETFを買い続けることで市場機能が低下するといった副作用を懸念する声が増え、株価が急落すれば日本銀行自身が赤字や債務超過になるリスクもあるとのことです。
こうした副作用やリスクに考慮し、日本銀行は次回の決定会合でETFの購入方法を見直す方針のようです。雨宮正佳副総裁は「メリハリのある買い入れを行うことで金融緩和の持続性を高める」との考えを示し、普段は購入を見送りつつ、株価急落時に巨額の買い入れに動く余地を残す方向のようです。焦点はETF購入にかかわる二つの目安の扱いです。まず年12兆円の上限は、なくしたり引き下げたりすると「緩和後退」と受け取られる懸念がありますので、急速な円高・株安などの混乱を招かないよう、この上限は残す可能性が高まっているもようです。しかし一方では年6兆円の原則については日本銀行内で「削除してもいい」(幹部)との意見が出てきており、市場動向をにらみながら、削除する方向で検討しているとのことです。
日本銀行はコロナ禍で2%の物価安定目標がより遠のいたとして、金融政策の点検を行っております。次回18~19日の決定会合で点検結果を示し、ETFを含めた政策修正に踏み出し、必要な場合は長短金利の引き下げが可能という見解を明確にするのと合わせ、金融機関の収益が悪化しないような対応策も示す見通しのようです。

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