日本銀行は19日、円安が日本の経済成長を押し上げるとの試算を公表しました。2010～19年の経済情勢をもとに推計したところ、円安が10％進めば実質国内総生産（GDP）を年間で0.8％ほど押し上げるようです。輸出企業の収益改善や訪日観光の増加が寄与したようです。円安は輸入品の価格上昇で内需企業や家計の負担を高める面があるようですが、「全体では景気にプラスの影響を及ぼす」としたとのことです。日本銀行は円安が輸出の数量を押し上げる効果が弱まってきているとの分析も示し、生産拠点を海外に移す企業が増えているようです。かつてのように円安により輸出企業の国内生産や雇用が増えるといった波及効果も弱まっている可能性があるとのことです。一方で、スマートフォンなど家電を中心に輸入品の比率が高まっており、円安が家計の負担増につながりやすい面もあるようです。米連邦準備理事会（FRB）は金融政策の正常化を進める一方で、日本銀行は金融緩和を粘り強く続ける構えのようです。この1年ほど、日米金利差の拡大を背景に円安・ドル高が進み、日本銀行の黒田東彦総裁は18日の記者会見で円安は日本経済にプラスとしつつも、「影響が経済主体によって不均一であることには十分留意しておく必要がある」と述べたもようです。